小ネタ 2003-015
Gameboy Advance 「ボクらの太陽」 の太陽センサー攻略?
(注意: 多少ネタばれを含むかもしれません)
2003年7月17日に発売されたゲームボーイアドバンス用のゲーム「ボクらの太陽」は、カートリッジに"太陽センサー"というセンサが組み込まれたゲームで、主人公が太陽のちからを借りて敵の吸血鬼や闇の怪物などを倒すというものである。 センサーに興味があったのと、ゲーム自体もメタルギアと同じ制作者のゲームで面白いという前評判が高かった期待の作品であり、発売日に購入した。
・カートリッジの中身
気が付いたらいきなりなぜかカートリッジの蓋が開いて中身が見える。写真のPD1という部品が"太陽センサー"であろう。
写真に写っているのはセンサの裏側で、実際には光が基板の反対側の穴から入射する。
・太陽センサー攻略
ゲーム内での主人公の武器は「太陽銃」という太陽の光をチャージして敵を撃つ銃であり、太陽の光を貯めないと銃が撃てないのである。またボス戦でもトドメを刺すのに「パイルドライバー」というのを使うため太陽の光がリアルタイムに必要となる。 光であれば何でもよいのではなく、太陽光でなければセンサに反応しないようになっている。「太陽光線のある特定の波長の成分に反応するセンサ」であるというメーカーから説明がされている。ちと曖昧な説明に思える。
この「太陽センサー」というのを探してみた。どうやら浜松ホトニクス社のG5842のような半導体紫外線センサーらしいことが分かった。このセンサは、紫外線波長の光のみ透過するガラス光学フィルターとフォトダイオードを1つのパッケージに収納したものである。G5842は波長370nmを中心に260〜400nmを感知し、G5842-01は290nm(260〜310nm)という狭い波長を感知する。
センサに紫外線を当てるため、ブラックライトペンと紫外発光LEDを試してみた。ブラックライトペンは、新ユーロ紙幣のチェック用として売られているもので、実際に太陽銃のゲージ7つ分くらいの光が入った。かなりの晴天と同等の反応である。
ペン型だとGBAと一緒に携帯するのは可能だが、戦闘中にリアルタイムに光が欲しいときに不便である。GBA用紫外線ライトを作製してみることにした。材料はGB-Pocket用通信ケーブルと、紫外線発光ダイオードである。今回入手した紫外LEDは、波長395nm(390〜400nm)のものである。しかし、センサの反応が悪く、ゲージ2つ分くらいである。電流を制限する抵抗を外して電源直結でもあまり光らないし。電源不足かもしれない。
これと前述のペンを使ってとりあえずゲームは1周目をクリアすることができた。社会人だと夜しかゲームできないから太陽に頼れないのがつらいが、夜にライトを使うのも攻略といえるだろう。
・紫外線量の測定
Web上で調べると、ボクらの太陽の発売元のコナミから、「UV TEDDY」(ユーブイ テディ)という紫外線センサが出ているらしい。他にも姉妹品で口臭センサ「エチケットテディ」なども出ているらしい。しかし、どうも入手不可能である。
ちなみに、ボクらの太陽の製作者のインタビューの記事で、口臭で吸血鬼を倒すというアイデアもあったというような話が出ていたが、このあたりのコナミ製品がこのゲームの企画の元になっているように思われる。
紫外線測定用のセンサとして、TANITAというメーカーから出ている「UVミラ」を使って測ってみた。この製品は、紫外線のUV-AとUV-Bを測定できる。ちなみにUV-Aは波長320〜400nmで、UV-Bは280〜320nm、UV-Cは280nm以下の紫外線と分類されている。 ブラックライトはUV-A、日焼け用ライトはUV-B、殺菌灯はUV-Cの紫外線が出るようになっている。UV-Cが最も有害である。
太陽を測定すると夕方でUV-Aが15W/m^2、ブラックライトペンで3W/m^2くらいであった。ゲームでの太陽銃ゲージでは反応が逆で、同じ条件で太陽にあてるとブラックライトペンよりもゲージが少ないのである。ちなみにUV-Bはほとんど出ていない。
UV-A ブラックライト等
400nm
395nm 紫外発光LED
???nm EURO紙幣用ブラックライトペン(たぶん紫外発光LEDで395nm)
???nm ボクらの太陽 (たぶんG5842と一緒で370nm)
370nm 浜松ホトニクスG5842
???nm タニタUVミラ(UV-Aモード) ... G5842とは別のセンサ特性
320nm
UV-B 日焼け用ライト等
320nm
290nm 浜松ホトニクス G5842-01
???nm タニタUVミラ(UV-Bモード)
280nm
UV-C 殺菌灯、EPROM消去装置など
280nm
253.7nm 殺菌用紫外線ランプ(殺菌作用の波長、EPROM消去の波長)
以下、余談
- EPROM消去について -
家では、ナショナルGL-6とか東芝GL10という蛍光灯サイズの紫外線殺菌灯の管を使っている。
普通の蛍光灯は蛍光物質がガラス管に塗ってあるが、紫外線灯には塗られていないので、直接紫外線UV-Cが出てくる。
EPROMの消去に必要な紫外線は、紫外線波長2537Å(オングストローム)で照射量が15Wsec/cm^2必要らしい。
ちなみに1Å = 1e-10m = 0.1nmである。