小ネタ 2006-010
- W-SIM機器開発は個人で可能か -
W-SIMはウィルコム・コア・モジュール・フォーラムという団体で技術情報の管理や参入業者への対応業務をしているそうだ。
W-SIM端末を個人で作ってもよいのかどうかについて、このフォーラムにメールで問い合わせてみたところ、返事を貰った。(2006.7.3)
曰く、
・個人で作るのは制限しないが、現実的には以下の理由で難しい。
・フォーラムでの技術試験に合格した端末でないと、ウィルコムの回線に接続するのはダメ。
・フォーラムへの加入は、法人のみ。
・フォーラムに加入しないと、技術資料は提供できない。
とのこと。
結構きびしいなあ。
回線に接続するのはダメだけど、開発すること自体は問題なさそうなので、とりあえず何か作ってみて、回線に接続する必要が出てきたら、どこかの法人に協力して貰うか?
音声通話端末をつくるのか、データ通信端末をつくるのかで難易度も変わってくる。当面、簡単そうなデータ通信のみに絞るのがよさそうだ。
- W-SIM入手と、端末の入手 -
W-SIMとDDを入手 (2006.6.3)
新規契約でW-SIMとDDを入手した。
DDは、W-SIMをUSBでPCに接続してモデムのように使うためのアダプタである。
W-ZERO3でW-SIM (2006.6.3)
前もって入手していた中古のW-ZERO3にW-SIMを入れて使おうとしてみた。
ネット接続がうまくいかず悩むが、色々と調べるとW-ZERO3はW-SIMロック機能が付いていて、最初にロックを外すためにWILL:COMのセンターにパケット通信で接続してサインアップをするという仕様になっているそうだ。
で、契約時にパケット通信を使わないでPIAFSのみで接続する「データパックmini」という契約にしていたので、サインアップができなかった。仕方がないのでWILLCOMのサービスセンターにそのW-ZERO3で電話して、一時的に契約を変更して、サインアップだけ済ませてから契約を元のデータパックminiに戻した。
あと、デフォルトの状態でキー入力が極めて使いにくい。カスタマイズするためのフリーソフトを入れてなんとか使えるようになった。
W-SIMの情報を調べる (2006.6.6)
W-SIMのATコマンドとか既に解析されているそうだ。
また、W-SIMやDDを分解した猛者もいるようだ。
「WILLCOM CORE MODULE FORUM」にW-SIMの公式の情報が出ている。
DDを調査してみた (2006.6.18)
Prolific社のUSB-UART変換チップと、バスバッファICで出来ていた。
これくらいなら自分でも作れそうに思える。本当に作れるかどうかはともかく。
TTが入手できない (2006.6.30)
解析用に音声端末を入手したいとずっと思っているのだが、TTが入手できない。
代わりに入手できそうな音声端末としてキッズケータイのpapipoが発売されるそうだ。
あと、nicoというのも発売されるそうだ。
W-SIMケータイのリファレンスキットも出るそうだ。
W-SIM関連の動きが色々と出てきた。
Linix端末開発キットが出るらしい (2006.7.2)
yasuhoの隠れ家というページで知った。一般向け販売もあり得るのか?
ハードウェアの改造やファームウェアからの改造ができれば面白いが、改造できないように制限しないと一般向け販売できないみたいだ。
LinuxZaurusにAirEDGEカードを挿したのと比べて、できることがそんなに変わらないのだと、あまり面白くないかもしれない。
- DD (WS002IN)について -
W-SIMを使ったデータ通信について、DDを調べるのが手っ取り早そうである。分解して、中身を調べてみた。(2006.6.18)
中に使われていた部品は、USB-UART変換用ICのPL-2303Xと、バス用ICの74LS245である。
W-SIM → 74LS245 → PL2303X → USBコネクタ → PC と、接続されている。
W-SIMの通信端子をそのままMAX232のようなRS232Cレベル変換ICを使って変換することも可能と思われる。
PCにW-SIMをセットしたDDを接続し、COMポートにATコマンドを入力すると応答が帰ってくることが確認できたので、普通にモデムとして使えるのだろう。
どういうATコマンドが用意されているのか分からないので、それを調べないとW-SIMを使うのは難しそうだ。
- nico. (WS005IN)について -
nico.を入手した。 (2006.7.17)
W-ZERO3とW-SIMを共有しようと思ったが、パケット無しのデータパックminiの契約なので毎回サインアップ必要なようだと困る。
W-SIMとは別に使っているCFカード型のcardH" CFE-01を機種変更して、W-SIMにすることにした。(2006.9.2)
機種変更のためにショップにCFE-01を持っていったが、W-SIM単体に機種変更できず、何かの端末と抱き合わせでないと購入できなかった。
仕方なく、抱き合わせで一番安いnico.を購入した。nico.が2つになってしまった。これは、ちょっと腹を立ててもいいかなと思う。
余った1つのnico.を分解して調べてみることにした。
使われてる部品で、主なものは下記の通り。
メインCPU ... OKI ML674001(ARM7)
フラッシュメモリ ...Spansion S71PL129KB0BFWQB
USBコントローラー ... OKI ML60852
音声コーデックIC ... OKI MSM7732
着メロ用音源IC ... OKI ML2870
CPLD ... Xilinx XCR3064XL
W-ZEROの分解記事やW-ZERO3esの記事で見られるハイエンド機の中身とはだいぶ部品が異なる。
部品は沖電気のものが多い。
XilinxのCPLDを使っているというのが珍しい。W-ZERO3でも使われてはいるが、ふつーこういうプログラマブルロジックデバイスは量産品にはあまり使われない。
W-ZERO内蔵のWolfsonのICは入手ができそうにないが、沖電気のICなら国内なので個人でも入手の可能性があるかもしれない。
- W-ZERO3[es]とUSB-UARTドライバ「232USB」について -
W-ZERO3の後継機種であるW-ZERO3[es]は、USB周辺機器を接続するためのUSBホスト機能が追加されている。
その1点にがぜん興味が湧いたので思い切って入手した。(2006.8.7)
232USBを試してみたところ以下のような結果となった。
DD ... 接続できた。ATコマンドが通った。
W-ZERO3 ... W-ZEROをActiveSyncでなくモデムモードに設定して、接続できた。ATコマンドが通った。ネットに接続はできなかった。ロックされてる?
Slipper-U ... 接続できなかった。
FTDIのUSB-UARTチップ ... 接続できた。シリアル通信は通った。
ProlificのUSB-UARTチップ ... 接続できた。(DDと同様)
SiliconLaboratoryのUSB-UARTチップ ... 接続できなかった。CP2101とCP2102を試したが、だめだった。
W-ZERO3[es]に自作の周辺機器を作って接続するにはFTDIのUSB-UARTチップのFT232Rあたりがよさそうだ。
自作ソフト作りについても検討してみることにする。
(後日加筆 2006.12.30)
USB2-PCADPGというPCカードをUSBに変換するアダプタについて、232USBで使えるかどうか試してみた。GPSとかのシリアル通信のCFカードをPCカードアダプタ経由で接続したところ、ちゃんと通信することができた。大きさはともかく、W-ZERO3esにUSB経由で強引にシリアル通信のCFカードを接続できるというのが便利だ。
- W-SIMの解析をするには -
W-SIMソケットから信号を取り出すためのダミー基板を作ってみた。(2006.9.10)
上記の基板にW-SIMを接続するためのW-SIMソケット基板も作ってみた。
これらを接続すると、W-SIMを普通にnico.に入れたのと全く同じように動作させることができる。
これを使えば、さまざまな動作状態での信号を観察することができそうだ。
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