小ネタ 2009-003

ネットワークインターフェース部品の電子工作(W5100,ENC28J60,etc)

以前からネットワークインターフェース用の電子部品や電子工作キットを色々と物色していた。
ネットワークの一端でサーバー側コンピュータを頭脳として、その一方でネットワークの末端に感覚器官としてセンサ等を常時接続しておくような物を作りたいと考えていた。
実際の応用はまだ出来ていないが、とりあえずネットワーク接続の基本的なテスト程度はやってみたのでメモ代わりにここに書いて残しておくことにする。(2009-01-17)

 
 左上から、LANTRONIX XPort、Tristate PICNIC-kit (Realtek RTL8019AS)
 左下から、Switch-Science ENC28J60-kit、 Optimize ENC28J60-kit、 Arduino + Ethernet shield (WIZnet W5100)




WIZnet W5100

 
  Wiznet W5100

 ArduinoというAVRマイコンキット用の拡張キットで「Ethernet shield」というのがあり、これにWIZnet製のW5100が使われている。
 これを使うとArduinoキットで簡単にネットワーク機能を使うことが可能である。

 
 Arduino用イーサネットシールド

 Arduinoは手軽にソフトを作成する環境として面白いのだが、普通にAVR用のgccでソフトを作ったり、他のマイコン等に移植してみたい。

 とりあえず、ハードウェアはArduino Diecimila基板 + Ethernet shieldをそのまま使って、Arduinoの開発環境を使わずにWinAVRのgccを使って簡単なテスト用ソフトをビルドしてみた。telnetでPCからAVRマイコンに接続して何か送信すると、エコーバックするテスト用ソフトである。

 [ w5100_test source code (download) ]



(後日加筆 2008-02-15)
 CQ出版のトランジスタ技術という雑誌2009年3月号にW5100を使った記事が載っていた。
 W5100を搭載したモジュールWIZ811MJを使って回路を作っている。このモジュールは、Arduino以外に接続するのに便利そうだ。
 ATMEGA168で作ったソフトのソースもCQ出版のWebサイトで公開されている。
 
 WIZ811MJネットワークモジュール

 自分もWIZ811MJを入手してみたので、あとでマイコンに接続して試してみる予定。





ENC28J60

 
  ENC28J60

 スイッチサイエンスという所からAVRイーサネットプラットフォームキットというENC28J60を使ったキットが出ている。
 それよりもだいぶ昔からオプティマイズという所でSPIイーサネットモジュールというキットが出ていた。


 まず、スイッチサイエンスのキットを組み立てて試してみた。
 
 Switch Science AVR Ethernet Kit

 キットの基板をそのまま組み立てた場合、AVRマイコンのISP端子からソフトの書き込みができないので、リセット端子をATMEGA168とENC28J60で切り離す必要がある。切り離したそれぞれのリセット端子は抵抗でプルアップし、ATMEGA168のリセット端子のみを6ピンのISP用書き込み端子のRSTピンに接続する。この改造により、AVRマイコンATMEGA168にオンボードでソフトの書き込みができた。

 [ enc28_test source code (download) ]


 次に、オプティマイズのモジュールのキットも試してみた。ATMEGA168のマイコンボードと組み合わせて回路を製作した。
  
 ソフトは、オプティマイズのサイトにあるソースがうまくビルドできなかったので、バイナリのhexファイルをそのまま使用した。
 動作テストをしてみたところ、pingが応答しない。動作不良かと思い、少し回路の配線を変更してスイッチサイエンスのキットと同じ回路にして試してみたところ、スイッチサイエンスの回路とソフトだとちゃんと動作する。
 オプティマイズの回路とソフトで再度もう少し試したところ、telnetの応答はちゃんと動作していることが分かった。単にオプティマイズのソフトではpingの応答がサポートされてないだけだったのかもしれない。



CP2201

 (後日加筆 2009-07-04)
 片付けをしていたら、以前に購入したCP2201-EKが出てきた。
 
  CP2201

 シリコンラボラトリーという会社からCP2201というワンチップのEthernet-IC部品が出ており、同社から純正の評価キットも出ている。
 
 写真左からCP2201EK、ENC28J60キット、W5100キット

 CP2201EKの基板上には、C8051マイコンとCP2201とセンサーが載っている。
 サンプルプログラムをマイコンに書き込むと、ネットワーク越しに、光センサーと温度センサーの値を読むことができる。

 CP2201はSPIとかのシリアルバスでなく、8ビットのパラレルバス用なので、接続用にピンを多く使ってしまうのが難点か。




秋月パルスというのがあるらしい

 (後日加筆 2009-07-05)
 最近、『心臓の鼓動をTwitterに投稿する「秋月パルス」』という記事やMakeの記事で知ったのだが、「秋月パルス」という電子工作があるそうだ。作者による元記事『心臓とネットをつなぐTwitterデバイスを作ってみた』を読んだ。
 秋月電子のH8マイコンキットのLAN-I/F(Realtek製RTL8019AS)付きのものをベースとして使って、心臓の鼓動の計測にはフォトリフレクタという素子を使って指先の毛細血管の赤外線の反射率/吸収率を計測しているそうだ。


 H8マイコンは昔は興味があったのだが、16bitCPUの時代が終わってきており時代遅れだと思う。ルネサスもH8をやめてRXマイコンにシフトさせようとしているみたいだ。
 このネットワークI/Fの秋月の工作キットについては、かなり以前から売られていた品物である。Youtubeの動画では使用部品にRTL8029Aと出ていたが、このキットはRTL8019ASだと思う。LAN-I/Fの応用で、ネットワークで遠隔計測という使い方しか自分は考えていなかったのだが、能動的にtwitterに投稿するというのが斬新である。


 脈拍の計測については自分も興味があり、調べていた。
 きっかけは、先月2009年6月初に、任天堂のゲーム機Wiiで、新しい周辺機器の「バイタリティセンサー」というのが発表されているのを見たからである。
 このWii用の周辺機器も、指先から脈拍数とか生体情報(血圧とか?)を読み取っている。Wiiというゲーム機はネットワーク接続機能もあるので、そのあたりで何らかの面白い応用が考えられていると思われる。


 脈拍計測のセンサーについて色々調べてみているのだが、とりあえず今、手元にあるのが、任天堂の昔のゲーム機N64用の「バイオセンサー」と、バンダイの玩具「テンパリ度チェッカー」の2つ。
 
 N64用の「バイオセンサー」と、バンダイの玩具「テンパリ度チェッカー」

 バイオセンサーは、耳たぶを挟んで微小な振動を計測するようだ。ピエゾ式かな?

 テンパリ度チェッカーは、秋月パルスと同様なフォトリフレクタ方式で計測するようだ。脈拍数だけでなく他にもゆらぎをチェックしてリラックス度合い/テンパリ度合いをチェックしているとのこと。
 あと、テンパリ度チェッカーの指を当てる部分に電極っぽい金属が2つ出ているのだが、何だろうか? 皮膚の抵抗を調べて発汗とかをチェックしてる?




ウィルコムW-SIMでどこでも常時接続

 (後日加筆 2009-07-25)
 ウィルコムのデータ通信PHSモジュールW-SIMを使って常時ネット接続するための「つないでイーサ OSX-1」を入手した。
 

 ネットワークに接続する機器とか作ったときに、それを置いて使う場所や持ち歩いた行き先に背景としてネットワークが無ければならないのだが、それを解決する方法として前からW-SIMを利用したいと思って色々考えていた。

 最初は、W-SIMを直接マイコンに接続したいと考えていたのだが、自前でPPPとか実装しないといけないので、そのあたりがネックで停滞していた。Linux系のOSが動いているマイコンであれば既にそういうソフトは利用できる状態なので、Linuxマイコンボードの購入を考えていたものの、実際に購入していない。 そうこうしているうちに、いろいろと接続した例が出てきてしまった

 結局、安直に、つないでイーサOSX-1を5月に購入した。W-SIMの契約も新つなぎ放題に変更したので、月額で980円で接続しっぱなしにできるようになった。 実際には、プランを変更したのでなく、W-SIMを新規で買い直して、古いのを解約した。本当はもっと早くOSX-1が出たときに買えれば良かったのだが、今までAdvanced W-ZERO3[es]を2年払い続けて使っていたのを、やっと最近払い終わって解約と買い直しができるようになったのである。少し早めに買ったので2ヶ月だけ2回線分の支払いが発生してしまった。



 (後日加筆 2009-07-27)
 ウィルコム自体もなんか色々やっているようだ。

 後者のコンセプト端末で、感情をセンサリングするリストバンドとか、手に付けているだけでバイタルサインをチェックしたりとか、かなり進んでいる。





Wiiバイタリティセンサーでどういうことができるか考えてみた

 WiiバイタリティセンサーでWiiネットワーク機能を使ってデータ収集できるとしたら、どういうことができるか考えてみた。(2009-11-07)
 Twitterに書いたネタだが、ここにも転載しておく。

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 任天堂第二四半期決算説明会 質疑応答 というのを読み返してみた http://bit.ly/2GgvPG
 「只の脈拍計ではなく毎日計る脈拍計です」というくだりが気になった http://bit.ly/2OxTpj
 三題噺:任天堂Wii、脈拍計、ゲームというのを考えてみた...とりあえず自分が連想したのは、テンパリ度チェッカーという玩具なのだが、毎日テンパリ度を測っても面白いのだろうか疑問に思っていた http://bit.ly/x3Rgj

 「あなたの自律神経の働き具合がもし目に見えたらどんなソフトが作れるか」ということは体の健康状態よりも心の健康状態を測るものを作っているということのようだ http://bit.ly/2A9LT7 →リンク
 WiiFitという健康器具ゲームを2007年に出していたので、その延長線上で毎日脈拍とか血圧を測って健康チェックでは安直すぎるのだが、WiiFit内のヨガとか座禅というゲームでは心を落ち着かせて最終的に悟りの境地に達することができる? http://bit.ly/1aw5ty

 WiiFit内の座禅ゲームだけでなく、Wiiのすべてのゲームでテンパリ度の解消効果やストレス発散効果が測定できたら、ゲームをすることに価値のある意味付けがされて、家庭内でゲームが敵視されなくなるということがあるのかもしれない
 例えば、仕事から帰ってきたストレスの溜まった父親が、子供とWiiのゲームで一緒に遊ぶとする...すると、Wiiバイタリティセンサーを付けた父親の心のバイタリティーが回復していくのが測定されて、その毎日の効果が見えるようになるとかどうだろう。
 Wiiバイタリティセンサーによる回復効果は、Wiiのネットワーク機能を使って任天堂に情報収集されて、どのゲームがどのくらいの回復効果があるのか計測されて、ユーザーにフィードバックされるという...一種の社会実験をすることも可能に思える

 Wiiバイタリティセンサーで集めた、ゲームによる回復効果が見えるようになって明らかになるだろうと思われる新事実...新作ゲームは回復効果が高いが時間とともに効果が減ってくる。回復効果を維持するために常に新作ゲームを買う必要があるという