小ネタ 2009-014
NintendoDSのカートリッジのセーブデータの解析 その6 (メイドイン俺)
- メイドイン俺の新しいチップについて -
メイドイン俺の中身のICが従来と違うという話を聞いたので、入手して、カートリッジ基板を調べてみた。(2009-05-24)
確かに、従来の基板と違う。
従来は、メインプログラム収納用のROMと、セーブデータ用のEEPROM(またはシリアルFLASHメモリ)とが分かれていた。
メイドイン俺の基板では、ICが1つしか搭載されていない。SAMSUNG製のKLC2811ANB-P201という番号の部品だ。
セーブデータ解析は、早々に断念。
- SAMSUNG KLC2811ANB-P201について -
写真のICは、韓国のSAMSUNG製のKLC2811ANB-P201という型番で、moviNANDという製品らしい。
製品型番表を調べると、これはNANDフラッシュメモリで、容量は128M Byteということだ。
この部品シリーズではメモリコントローラー部分が色々と用途によってSSD向けだったり各種バリエーションを出しており、その中のKLCの型番はゲームカードリッジ用の特注品らしく、汎用規格品のメモリとは異なっている。
ちなみにDSiの本体にもmoviNANDのKMAPF0000Mが内蔵されている。
マスクROMでなくてFLASHメモリなので、ICを製造した後の工程でソフトを書き込むことができる。使い方としては3Dメモリと同様だが、どちらかというとSDカードのような使い方に近いのかもしれない。
FLASHメモリ内部は、ゲームソフト格納部分とセーブデータ部分に分かれており、128MBの大半はメイドイン俺の自作ゲームの保存に使っているようだ。(参考
- バンドブラザースDXのデータ保存の容量は8MB。)
ゲームソフト格納部分は、たぶん書き込みが禁止されており、読み出しについては暗号化されていると思われる。
暗号化はあまり複雑なロジックをICに入れることができないので比較的簡単だったらしく、既に解析されてマジコンに対応されてしまっている。
ゲームソフト格納部分のメモリの書き込み禁止を解除する機能がこっそりと準備されていれば、あとからゲームソフトの不具合などをアップデータで書き換えて修正することも可能かもしれない。コストがかかるが回収して不具合などを書き換えるというのも可能かも。
あと、追加配信コンテンツを記録するのに使うとかも考えられる。
このシリーズのNANDメモリの容量の上限は、いまのところ16GB品ESまで作っているようだ。型番表では128GB(128ギガバイト!)まで載っている。コストを度外視した話だが、128GBもあればBlu-rayディスクを超える大容量である。
実際には1GBもあれば、ムービーやフルボイスなどの今まで容量制限で入らなかった物が入れられる。
DSカートリッジの原価コストも、1GBのmicroSDカードの値段が販売価格500円強でその原価を考えると、それなりにNANDフラッシュメモリ自体は安いのではないかと思われる。
DSのゲームくらいの数量の発注でどれだけの値段になるのだろうか。
ちなみに、DSゲームカートリッジの原価コストについては、以下の記事で述べられているが、1700円だとかの額が出ている。
・なぜ任天堂は社員数がソニーの50分の1で稼ぎは3倍なのか
> 製造委託費(物流代行費も含むと思われる)は総額1700億円にものぼる。1本あたりDSのソフトで1700円、Wiiのソフトで1000円程度と推計される。
・製作原価の話|TidalBeachBlog
> ROMカードの容量を最初に選択し、それによって製作原価が変わるわけです。
> 実際、組み合わせ次第で相当な差がでますが…… それが1,700円なんて額に達する組み合わせはあったっけかなあ??
> 私が前に調べたときは、一番高い組み合わせでさえ、それよりずっと安かったけど。
(後日加筆 2009-05-28)
任天堂の公式の"社長が訊く"で、NANDメモリの話が出ていた。 NANDメモリを使ったDSカードをNANDカードと呼ぶらしい。
> 岩田 「NANDカード」というのは、
> NANDメモリという大容量化に適したフラッシュメモリを搭載した
> 新しいタイプのDSカードです。
> 通常のDSソフトで使われているDSカードと比較して
> 大容量のデータを書き換えて保存することができることや、
> データの消去や書き換えが高速に行える特徴があります。
- メインドイン俺のセーブデータ -
当初は、単に画面の撮影動画が動画サイトにアップロードされ、色々なネタのゲームが作れるということで盛り上がっている。
自作ゲームのネタの例 , 例2 , 例3
現在、メインドイン俺のセーブデータ(自作ゲーム)が、いろいろと出回ってアップローダで交換されて、さらに盛り上がっている。
セーブデータ交換の1つの方法は、Wii Wareの「あそぶメイドイン俺」を使って、メイドイン俺で作ったゲームをWiiに転送してSDカード経由でWii用セーブデータを取り出したり、入れたりするという方法がある。Wii上で自作ゲームで遊べるという意味でも面白い。
もう1つの方法が、ちょっと妖しいのだが、マジコンが既にメイドイン俺に対応してしまっているので、マジコンを使ってメイドイン俺を使用してmicroSDカード上のセーブデータを取り出すという方法があるらしい。miotoolというツール等がある。
直接メイドイン俺のDS実カートリッジに対してセーブデータを読み書きする方法は、いまのところ見つかっていないようだ。