ビールを自作してみる (その3 – ビール密造を正当化できるか?)

ビールを自宅で醸造するキットが売っていたのを購入して、試しに仕込んでみている。仕込んだビールが発酵してアルコールが出来るかどうかはまだ分からないが、出来てしまいそうな予感がする。

しかし、酒造免許無しでアルコールを醸造するのは違法である。
国税庁のwebサイトのQ&Aにもずばりの事例が出ている。
「手造り麦芽飲料用」の缶入り、いわゆる「ビールキット」を購入して、自宅で自家製ビールを造ることに問題はありますか。
免許無しで作るとアルコール度数が1%を超えると違法になり、1%以下なら合法とのこと。
(酒造免許の取得は、生産量が大量でなれけば免許が下りないので、趣味でビールを作るために免許を取るのは事実上不可能だ。)

どうにか正当化できる理屈はないのか考えてみている。

梅酒を個人で作るのは合法となっている。
梅と氷砂糖とホワイトリカーを瓶に漬けて醸造するのは例外として認められているのだそうだ。
それなら、同様に麦モルトの醸造時にウイスキーを追加で入れて醸造してアルコール分を濃くするのは法的に可能だろうか?
これも国税庁のwebサイトのQ&Aにも出ている。
消費者が自宅で梅酒を作ることに問題はありますか。
梅酒などは例外として醸造には該当しないことになっているそうだ。
ただし、それにはいくつか条件がある。
(1) 原則、家庭内で消費すること。知り合いに無償で飲ませたり譲ったりするのは現在ではOKになった。しかし、売ったりしてはいけない。
(2) 使用する酒は市販の課税済みのものでアルコール分20度以上であること。
(3) ぶどう、米、麦、とうもろこし等、でんぷん、こうじ、アミノ酸類などは禁止。それ以外はOK。梅酒とか葡萄以外の果実酒はOK。例えばブランデースプリッツアーはOK。蜂蜜酒なども大丈夫なのかもしれない。レーズンをラム酒で漬けるのであれば合法らしい(?)。
ということだ。
上記の(3)に該当するため、麦のモルトをウイスキーに漬けるというのは法的には駄目ということになる。

それでは、ルール通りにアルコール分1%以下のノンアルコールビールを造ったことにして、そのあとでウイスキーを混ぜておくというのは法的に可能だろうか?
お酒に混ぜ物を混ぜてカクテルを自分で作るということである。
(実際にはウイスキーを混ぜたアルコール分なのか、醸造したアルコールなのかは判別ができないと思う。)
しかし、カクテルは勝手に作ってもよいのだと自分は勘違いしていたのだけど、これも法的に合法/違法となる範囲が決まっている。
酒税法によると、混酒も酒を造るのと同じなので酒造免許なしでカクテルを造ると原則違法なのだけど、飲む直前に混ぜるのは例外的にOKとなっている。
カクテルを作り置きすると、飲む直前では無いので違法となってしまう。
飲む直前に作ったとしても、家でカクテルを作って知り合いに飲ませたりするのは違法らしい。
飲み屋などのお店の場合は、届け出をしておけば注文されてからカクテルを作って客に出さなくても前割りで作り置きするのは合法となる。自家製果実酒カクテルをお店で提供するのも合法になっている。
ノンアルコールビールにウイスキーを混ぜたカクテルを大量に作っただけという言い訳は個人の場合には作り置きに該当してしまうので通用しなさそうだ。
自宅を飲み屋として届け出れば合法にできるかもしれないが、ちょっとハードルが高い。

ノンアルコールビールにウイスキーを混ぜたカクテルを、作ってすぐに瓶から少し出して飲んで、飲み残しを保存しているという言い訳はどうだろう?
瓶1本だけなら通用しそうな気もするのだけど、瓶が大量にあったりすると全部が飲み残しを保存しているものだという言い訳はちょっと苦しいかもしれない。

カクテルではなく、調味料を作っただけという言い訳はどうだろう?
お酒に何かを混ぜたものはカクテルとなり、酒造免許無しで作り置きすると違法のはずなのだけど、実際にはお酒を調味料として混ぜたものを作り置きするのはよく見掛けると思う。
例えば、醤油と日本酒と砂糖を使ったタレだとか、赤ワインのソースだとか、リキュールを使ったシロップとか。
ノンアルコールビールとウイスキーを混ぜた新しい調味料を作ったら駄目だろうか?
実際に作ったビール調味料を料理に使った実績があれば大丈夫そうな気がするのだけど、どうだろう。

似たような話で、調味料の「みりん」を自宅で発酵させて作るというのがあるが、これは酒造にあたるので違法である。
しかし、塩を2パーセント加えて不可飲処置すると「塩みりん」になり、合法なのだそうだ。
ビールの場合にも2パーセントの塩を入れておけば調味料として完全に合法になると考えられる。
ただし、こっそりビールとして飲むことは出来なくなってしまうので、本末転倒ぎみだ。

現実問題として、酒を混ぜて作った調味料で塩分が2パーセント以上になっていないものは世間一般に多いと思う。先ほど挙げた赤ワインのソースや、リキュールを使ったシロップとか。

飲むことが可能なレベルでビール風調味料にほんの少しだけ塩を入れておいて調味料を作ったという言い訳をするのは苦しいだろう。
厳密には違法なのだけど、これを処罰するならば赤ワインのソースだとかリキュールを使ったシロップも処罰しなくてはならないので、裁判になって判例になるまで頑張ってみると面白いかもしれない。

自作のビール風調味料と一緒に、赤ワインを使ったソースとかリキュールを使ったシロップの作り置きを同じように瓶に入れて並べて置いておくことにしようと思う。


追記
正当化できなさそうなら、あきらめて自作ビール(?)は廃棄しようと思う。ビール掛けをして浴びてみたりとかビール風呂にしたりとか。




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