VRはキモズムを越えることができるのだろうか。
「キモズム」というのはGOROmanという方の造語で、キャズム越えみたいに普及に至るために越えるべき「キモい」という壁ということだ。
この壁を越えると女子高生などにも普及するモテ属性のアイテムになり、急速に普及するのではないかという説が提唱されている。
パソコンの普及に例えて語られている。
Windows95が出たあたりから急速にパソコンが普及しだしたが、キャズム越えやキモズム越えはどうやって壁を越えたのか。
パソコンのキャズム越えは、自分もこの間少し考えてみたが、会社向けにはMicrosoft Officeというキラーアプリ同梱が決め手で、個人向けはそれに少し遅れてインターネットのブームがきっかけだと思う。あと男性向けだと成人向けゲームとか。
→ Windows95はなぜ爆発的に普及したのだろうか(Macでは駄目だったのだろうか)
では、パソコンのキモズム越えはどうなのだろう?
まず、キーボードというメカメカしい物体がキモい。
GOROman氏は学生の時にパソコンのキーボードを高速にタイピングするのを同級生女子にキモいと言われたのがショックだったらしい。
その後パソコンが普及してきたときに、GOROman氏がバイト先で女子にPostPetを使いたいのでどのパソコン買ったらいいのか聞かれたとき、パソコンが「モテ」になったのだと感じたそうだ。
→ VR普及の鍵は「モテ」と「JK」、GOROmanさんに聞く(前編) HRナビ by リクルート
しかし、キーボードのキモさという肝の部分は克服できていないように自分には思える。
むしろキモさに目をつぶっても使いたいというメリットが出てきただけではないだろうか?
PostPetのVRが出るかもしれないらしいが、PostPet VRを使いたいからどのVRを買ったらいいか聞くような女子が普通になるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
似たような例を挙げてみると、プレイステーションのようなゲーム機はどうだろうか。
PS1以後の3D時代になってからのゲーム機のコントローラーはスティックやボタンが沢山ついていて、ラジコンのプロポ(プロポーショナルコントローラー)みたいにメカメカしくてキモいと思う。
デザイン的には少しは洗練されてはいるものの、女子高生がラジコンのプロポのようなメカメカしい物体を好むとは思えないし、キモズムの壁のキモさを克服できていないと思う。
しかし、ゲームソフトで一定量の女子向けのものも出ていたりするので、女子向けにキャズムは越えているように思える。(女子がゲームしていることをハズいから隠すというのが減っていると思う)
これも、キモさに目をつぶっても使いたいというメリットが出てきただけではないだろうか?
ゲームセンターのクレーンゲームなどにも同じ事が言えると思う。
あと1つ、ビデオデッキの普及について考えてみる。
最初の頃のビデオデッキは、リモコンにボタンが異様に多く、それなのに録画予約しようとするとデッキの小さな見にくい表示器の分かりにくい表示を見ながら複雑な操作をしないといけなかった。
とてもメカメカしくてキモかったと思う。
それなのにそれを克服してキャズム越えして普及したのはなぜだろうか。
番組録画以外に映画などのソフトのレンタルが充実していったおかげなのだと思う。
これも、キモさに目をつぶっても是非に使いたいというメリットが出てきた例ではないだろうか?
ビデオデッキには、さらに女子に嫌われそうなアダルトビデオ用途というキモさがある。
ソニーのベータ方式とVHSの普及競争で、VHSが勝ったのはアダルトのおかげだという説がある。
島耕作という漫画(ヤング島耕作)でもその話が出てくる。
→ ビデオ普及、VHS対ベータの勝敗を決めた「アダルト」の扱い?(ヤング島耕作) – 見えない道場本舗
男がアダルトビデオに使っていたビデオデッキだとしても、そのキモさには目をつぶって、モテアイテムとして男女で二人で家でレンタルした映画を見るというのが共存できていたりする。
キモズムの壁は、キモさを無くしたり隠したりする方向で克服しなくても、普通にメリットとしてのキラーソフトで越えられるのかもしれない。
VRのキラーソフト(キラーアプリ)は? というのを考えるとちょっと難しい。
3D映画から発展していけばと、自分は少し前まではそう考えていたのだが、3D映画は下火になってきてしまっている。
家庭用の受け皿の3Dテレビは終了してしまった。
→ 3Dテレビの生産を最後まで残ったソニーとLGが終了、市場からのフェードアウトが確定 – GIGAZINE
理想はホロデッキなのだけど、そこまで技術が進むのはかなり時間がかかりそうだ。