組み込みLinuxマイコンボード等でUSB 3Gモデムが使えるか試した
元の記事はこちらに書いていたものをblogに書き直ししている)
ARMなLinuxマイコンボード+USBモデムと組み合わせて使いたいので色々と試してみた結果のメモのまとめ。(2014-05-01)
実は試してみたのは去年なのだけど、退職でごたごたしていて 記事としてまとめるのがずっと手つかずだった。
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(1) USB-3G-modem Huawei E1756Cを使ってみる
HuaweiのUSBドングルタイプの3Gモデム E1756C
・Windows7 PC で まず動作確認
まず、PCでWindows7(x86)やWindows7(x64)で動作確認してみた。しかし、うまく動かなかった。
PCのUSBポートを挿すと、仮想CD-ROMドライブが自動起動して、インストーラーが起動する。
64bit版のWindowsだとインストール中にハングアップしてインストールができないし、ドライバが入らない。
32bit版のWindowsでも、インストールされたソフトを起動して使ってAPNとか設定してもConnectがどうしてもつながらない。
32bit版のWindowsでドライバーが入るとWindows7の標準の”モバイルブロードバンド接続”の接続管理が動くので一応は接続とかができるようになった。
・Ubuntu(x64) PC で試す
USBポートに挿すとドライバは自動で認識された。
UbuntuのGUIメニューからのネットワーク設定でAPN設定したら、接続できた。
・ Ubuntu(ARM)で試す
UbuntuをインストールしたDynabookAZや、Pandaboardで試してみた。
UbuntuのPCと同じ手順(GUI操作)で、ドライバは自動で認識され、接続することができた。
UbuntuをインストールしたPandaboard等でCUIのコマンドからの接続も試してみた。
マイコンボードの場合、コマンドで自動で接続をしたいからである。
コマンドラインからwvdialというコマンドを設定して動いた。
wvdialのインストールは、sudo apt-get install wvdialで入れておく。
接続設定のファイル/etc/wvdial.confの内容は、こんな感じ (DTIの場合の例)
–
[Dialer Defaults]
Modem = /dev/ttyUSB0
Baud = 115200
Phone = *99#
Username = user@dream.jp
Password = dti
init1 = ATZ
init2 = AT+CGDCNT=1,”IP”,”dream.jp”
New PPPD = yes
–
RaspberryPiのRaspbianだとwvdialのインストールで少し悩んだ。
sudo apt-get build-dep wvdial で、必要なものをインストールしないといけない。
(モデムを抜いた状態でないとwvdialがインストールできなかったので、apt-getの前に抜いておくこと。)
(2) bmobileの古いモデム bmobile3G(ZTE MF363)を使ってみる
日本通信bmobileの古い3Gモデム (ZTE MF363)
・ Windows7 PCで試す
もともとはWindowsで使っており、既に動作するのは確認済みだった。
・ Ubuntu PC
USBポートに挿すとドライバは自動で認識された。
UbuntuのGNOMEのGUIから設定して動いた
・ Ubuntu (ARM)
イオンSIMの場合、特に問題なく Ubuntuで動作し、接続することができた。
DTI ServersMan SIM 3G SIMだとMF363では なぜかうまく接続ができなかった。
イオンSIMなど他のSIMだと接続できるのになぜなのか不明。
(3) E-mobile D02HWを使ってみる
E-mobileの初期のモデム Huawei D02HW
このモデムはファーム書き換え(?)でSIMフリーになる。(アンロックフラグ書き換えだけでOKだった)
・ Ubuntu PC / Ubuntu (ARM)
特に問題なく Ubuntuで動作し、接続することができた。
(4) DoCoMo L-02Cを使ってみる
ドコモのLTEモデム LG L-02C
・ Windows7 PCで試す
Windows7 PCの場合にはUSBポートに挿すとインストーラーでドライバや接続用のソフトがインストールできて、APNを設定すれば繋がった。
3G版のイオンSIMでは繋がらなかった。イオンSIMのLTE版に切り替えたらつながるようになった。
・ Ubuntu PC / Ubuntu (ARM)
UbuntuPCでは自動では使えなかった。
(5) DoCoMo L-05Aを使ってみる
ドコモのLTEモデム LG L-05A
・ Windows7 PCで試す
Windows7ではUSBポートに挿すだけで仮想CDとしてマウントされて、モデムのドライバなどが自動でインストールされる。
そのあとCDイジェクトをしないとモデムに切り替わらないらしい。
Windows7と8では動作した。 (Windows8ではCDイジェクトでモデムに切り替えはできなかったが、なぜか接続ソフトではモデムとして動いた?)
・ Ubuntu PC / Ubuntu (ARM)
ubuntu (x86) PCでは自動では使えなかった。
usb_modeswitchがうまく動いていないので、モデムとして動作しない。仮想CDドライブとして認識されたままの状態だ。
ubuntu (x64)でも動かない。x64だと、まず仮想CDとしてさえ認識がされない。
まとめ
DTIのServersMan 3Gという490円/月額のSIMをLinuxマイコンボード+USBモデムと組み合わせて使いたいので色々と試した。
結果をまとめると次の通りだった。
DTI SIM 3G | イオンSIM 3G | イオンSIM LTE | 備考 | |
Huawei E1756C | Win / Ubuntu | Win / Ubuntu | Win / Ubuntu | 全て接続OK。Windowsは32bitのみ。技適無しが難点 |
ZTE MF363 | Ubuntu | Win / Ubuntu | Win / Ubuntu | なぜかDTIの3G SIMだとWindowsで駄目だった |
E-mobile D02HW | Win / Ubuntu | Win / Ubuntu | Win / Ubuntu | 全て接続OK。裏技でSIMロック解除が必要 |
DoCoMo L-02C | NG | NG | Win | 3G SIMは不可。Ubuntuで動かなかった |
DoCoMo L-05A | Win | Win | Win | 3G SIMはOK。Ubuntuで動かなかった |
E-mobile D02HWをアンロックしたものを使うのが一番良いようだ。
最近はDTIのSIMもLTE版が出ているので、使えるのかどうか追試したい。
(追記 2014-05-05)
DTIのSIMのLTE版を試してみたが、やはりZTE 363ではうまく接続できない。
このSIMで他のHuawei E1756CやD02HWを使ったらDynabookAZのUbuntu(ARM版)で接続はできることも確認した。
MF363についてのまとめの内容は、前に書いてあったメモを元に書いたのだけどちょっと記述がおかしい気がする。しかし、もうDTIの3G SIMは残っておらず、MF363はSIM変換アダプタを入れたときに引っかかって無理して抜いてからSIMの入れる部分の端子の接触がおかしい感じで、もう検証ができない。
(追記 2014-10-20)
L-02Cで、ATコマンドでAT%USBMODEM=0というコマンドで設定を変更して、おくと挿すだけで最初からモデムと使えるそうだ。今度試してみようと思う。
→ https://twitter.com/masaki_ipodrepo/status/523496421253582848
(追記 2016-02-24)
ラズパイ超入門というムックの記事によると、RaspberryPiでL-02CやL-05Aが使えるらしい。
/etc/wvdial.confのINITで、
Init1 = ATH
Init2 = AT&F
Init3 = ATZ
Init4 = ATQ0 V1 E1 S0=0 &C1 &D2
などと設定している。
この設定が接続に必要だったのかもしれない。