ラーメンを自作してみる (その4 – かんすい)

ラーメンを自作してみる。という話の続き。

麺を作るために入れた「かんすい」を自作した。

美味しんぼという漫画の単行本38巻にラーメンのエピソードがある。
このエピソードは珍しく取材元がしっかりしていたのか取材に特に力を入れていたのかよく出来ていると思う。(ちょっとトンデモな部分もあるが)

その中の麺の話でもかんすいの話が出てくる。

かんすいの成分として、下記の3種類の成分が配合されている。
・炭酸ナトリウム
・炭酸カリウム
・リン酸化合物(いろいろある)

自分も3種類を実際に購入してみた。
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家庭で手軽に代用する場合には、かんすいの成分の1つ炭酸ナトリウムの代わりに重曹(炭酸水素ナトリウム)を使ったりする。(お湯に溶かしてしばらくおけば炭酸ナトリウム水溶液になる)

かんすいを麺に入れる理由はコシを出すためだ。
ラーメンの語源の拉麺という中国語の文字の「拉」というのは手で引っ張って麺を延ばすという意味(?)で、手で引っ張って延ばす麺だから拉麺という。
ダイナミックに空中で麺を延ばすのは職人の技だ。(動画)
麺の生地になめらかな弾力とコシがないと、この製麺方法は成立しないと言える。

反面、ラーメンの麺が重曹くさかったりするのはコシを出すために入れたかんすいに含まれる炭酸ナトリウムのせいだ。
この匂いが好きという人もいるが、美味しいラーメンには不要でむしろマイナスになるという。

上記の漫画のエピソードでは、麺に弾力とコシを出すために本当に必要な成分はリン酸化合物(重合リン酸塩)だけで、それ以外は入れなくていい不要な不純物だと説明している。
中国の塩湖から取れた天然のアルカリ塩をかんすいに使って麺を作る手法で拉麺が発明されたのだが、当時は科学的に成分を分離できなかったので、そのまま3種類の成分が入ったかんすいが定着してしまったという説だ。

自分もこの3つの成分の化合物を試してみようと調べてみた。
最初は面倒なので出来合いのかんすいを使おうとも思ったのだが、売っていない。
ネットで探していたら、かんすい工場を取材したりかんすいを使い分けする記事が見つかった。
ラーメンの麺に入っている「かんすい」ってなに? – デイリーポータルZ
ラーメンの「かんすい」を使い分ける実験 – デイリーポータルZ

ここで出てくるかんすい工場でもやはり上記の3成分が基本的には使われている。
炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとリン酸化合物としてリン酸第二ナトリウムを配合しているのだが、その配合比率は、10種類くらいのかんすい製品それぞれで異なっている。(一部それ以外のリン酸化合物が使われている)
基本的には、炭酸ナトリウム65%、炭酸カリウム25%、リン酸第二ナトリウム10%でいいようだ。

配合が異なった製品でどのように違いがあるのかというと、麺のコシの出方が変わるらしい。
デイリーポータルZの実験によると、炭酸ナトリウムは麺がソフトな感じに弾力が出て、炭酸カリウムは麺が締まるような弾力が出るらしい。また炭酸カリウムは水分多めの麺が作れるという特徴がある。(リン酸化合物はよくわからないっぽい)

風味については工場で作るときに工夫があり、匂いとか抑える作り方があるみたいだが、企業秘密なので詳しくは不明だ。同じ比率の配合でも同じ風味にはならないのだとか。

記事には濃度を表すボーメ度というのが出ている。
塩分濃度を測るためのボーメ計という機器で測定するした濃度のことだ。
液体の比重を測定して、水に塩(塩化ナトリウム)を溶かした場合の比重に当てはめて度数が決まる。
自分も塩水濃度計の簡易なものは持っているが、今回は使わなかった。
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普通に重量パーセントでアバウトに計算しても濃度はそんなに違いはないような気がする。

今回、まず最初に自分は極端に条件を振ってみた。
・炭酸ナトリウム 100%
・リン酸三ソーダ 100%
という2種類を試した。

濃縮かんすいを作ろうとして、炭酸ナトリウムでいきなり濃度を高くしてスロークッカーで加熱してたら凄い刺激臭がして目が痛くなった。鍋で煮てる間じゅうガスが他の部屋にまで充満してしまった。
かんすい工場で作っているような濃縮かんすいは難しいので自作はやめたほうがいいようだ。

炭酸ナトリウムをちょっと濃いめくらいで作ったかんすいを入れた麺は、アルカリの苦みがあった。へたをすると食べられないレベルだ。(できあがったラーメンに酢を入れて食べると苦みのアルカリが中和されるらしい。)
匂いも重曹くさい。麺のコシとか柔らかさは水加減でだいぶ変わってしまうので正直よく分からなかった。
リン酸第三ソーダのかんすいを入れた麺は、特に匂いや味におかしなところはなく、素直な麺になった。

自分の結論としては、自作のかんすいの成分はリン酸塩だけでいいような気がしている。
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ただし、リン酸塩は、ソーセージだとかの保存料などにも使われており、摂取しすぎるとカルシウムが体に吸収されるのを阻害してしまう働きがあるので、食べ過ぎると良くないらしい。
上記の漫画美味しんぼでも悪し様に取り上げられて、結局かんすいそのものを否定している。

取りすぎると体に害があるというのだけれど、例えば塩分なども取りすぎると体を壊してしまう。
ラーメンばかりを食べていたラーメン研究家が体を壊したという話があるが、かんすいが原因でなく塩分が原因だと思われる。
毎日食べるのでなければ、リン酸塩を過剰に忌避しなくてもいいと自分は思っている。
気にしすぎると、市販の焼豚やチャーシューなどに含まれる保存料なども気にしないといけないだろう。




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